介護食とはどういうものか
ふつうの食事が摂れなくなったお年寄りのために、工夫された食事を介護食といいます。ふつうの食事(常食)が摂れなくなるのは、食物をかみ砕く(咀嚼・そしゃく)力、口の中で唾液と混ぜながら飲みこみやすい形にまとめる(食塊形成)力、ゴクンと飲みこむ(嚥下・えんげ)力のうち、どれかの力が低下するためです。
介護食をつくる場合は、本人のどの力が衰えているかを見極め、弱点をカバーする調理を行わなければなりません。
咀嚼に問題があるお年寄りには、かたくない食事を用意しましょう。おかゆと、軟菜食と呼ばれるやわらかく調理したおかずの組み合わせがベストです。市販されている介護食(レトルト製のソフト食)も、多くはこのタイプに当たります。かまなくてもいいようにと常食を細かく切った刻み食は、歯にはさまって余計に食べにくいものです。
食塊形成と嚥下に問題があるお年寄りには、ひと口大にまとめるかトロミをつけましょう。液体がいちばん飲みこみにくいので、サラサラにしたミキサー食や流動食を与えると、かえって誤嚥(ごえん)を起こしてしまいます。
ポイント1:やわらかい介護食をつくる目安
咀嚼に問題があるお年寄りの介護食は、特別な食材でつくる必要はありません。日頃食べているものを、かむ力の段階に合わせてやわらかくすればいいのです。日本介護食品協議会が介護食のやわらかさの目安を示しているので、参考にしてください。
※日本介護食品協議会のホームページをもとに作成
たとえば、肉じゃがを食べやすくしたいとき、やわらかく煮るだけではのどの通りがよくないので、かたくり粉でトロミをつけるといいでしょう。かたくり粉は熱を通さないとトロミがつきませんが、市販の「トロミ調整剤」を使うと、冷たいものにも簡単にトロミがつけられて便利です。
ポイント2:お年寄りには避けたい食品
全般的に食べる力が弱くなったお年寄りに禁忌(きんき)な食品は、のどに詰まりやすく窒息を起こす危険がある食品です。具体的には、もち、大福もち、こんにゃくゼリー、バターロールなどがこれに当たります。
お雑煮も要注意!
次に気をつけたい食品は、水分が少なくてのどに詰まりやすい食品(パン、カステラ、スポンジケーキ、高野どうふ、ナッツ類)です。パンはフレンチトーストにするなど、水分をたっぷり含ませて食べやすくしましょう。
固ゆでたまごの黄身、ちくわ、かまぼこなど口の中で散らばりやすい食品も、誤嚥しやすいので注意が必要です。これらの食品は、食塊形成力や嚥下力が弱ったお年寄りには、要注意とされています。