平昌五輪で2連覇を果たした羽生選手が食べていた、「勝ち飯サポート」が話題になりましたが、近年「アスリート飯」が注目を集めています。効率的にしなやかな肉体を作り上げ、疲労回復に配慮したレシピが「アスリート飯」と呼ばれているのです。スポーツ選手や部活動を頑張る子どもたちを始め、健康な体作りを目指すすべての人にぜひ取り入れてほしい食事の新たな考え方となっています。
そこで編集部では、埼玉県鴻巣市にあるてらやま農園を取材しました。米や麦を中心に栽培しているてらやま農園の寺山卓(てらやまたかし・51歳)さんは、200kmもの道のりを走りぬくウルトラマラソンの競技者であり、3兄妹のお子さんは全員ラグビー選手というアスリート一家なのです。そんなてらやま農園の農産物に対する知識を元にしたアスリート飯から、健康な体づくりについて、寺山家のレシピとともに密着取材を続けていきます。今回はてらやま農園の寺山里美さんにお話をうかがいました。
寺山さんご一家
Q:「ヨーグルト玄米の混ぜご飯」をご紹介いただけるということですが、アスリート飯としてどのような効果が期待できるのでしょうか。
寺山里美さん(以下、寺山):まず玄米には、ビタミンB1が豊富に含まれています。このビタミンB1は疲労回復効果があり、たんぱく質をエネルギーに変える働きもあります。ですから、減量や体を絞ることを目的として摂取するアスリートが多いのです。
わが家では、高校ラグビーの選手である長男が、朝夕を玄米に変えて5年目になります。この5年で骨折や靭帯損傷などの大きなケガは一切なく、ハードな練習にも耐えています。それまでは、半年に1回は靭帯不全断裂などの大きなケガがありました。やはり玄米の疲労回復効果がケガ防止に一役買っているのでしょう。
また、しょうがには疲労回復効果があるので、練習後の食事に使用することが多いですね。
Q:玄米の疲労回復効果は魅力的ですが、少しパサパサして食べにくいですよね。
寺山:そうなんです。そこでわが家では、ヨーグルトを入れて炊いています。
(注:ヨーグルト玄米の効果と作り方については「玄米はヨーグルトで炊こう!」を参照してください)
また、炊き上がったヨーグルト玄米を調味して混ぜご飯にすることで、より食べやすくしているのです。今回紹介する混ぜご飯は、しらすを入れることでカルシウム、ビタミンB12、DHA(ドコサヘキサエン酸)が摂取できます。
カルシウムは骨を強くする栄養素ですから、強い体つくりには欠かせません。それにビタミンB12は、疲労軽減と貧血予防が期待できる栄養素です。貧血は、女子アスリートにとって非常に重要な課題です。わが家は娘が2人ともラグビーのクラブチームでプレーしていますから、積極的に摂取するように心がけています。
Q:DHAは頭が良くなると言われている栄養素ですよね。アスリート飯でも注目されているのですか?
寺山:わが家ではDHAを重要視しています。強いアスリートというのは自分で考え、ゲームをマネジメントする力が必要です。また、スポーツだけでなく勉学にも励んで欲しいとの思いから、積極的に摂取できるよう工夫しています。
新米が美味しいこの季節、白米が美味しいのはもちろんですが、玄米も水分を多く含んでいてとても美味しいですよ。いつもの白米を玄米に換え、混ぜご飯にするだけでアスリート飯としての効果がグッと上がります。この玄米混ぜご飯をおにぎりにして、おやつや補食にするのもお勧めです。
「ヨーグルト玄米の混ぜご飯」の作り方
【材料】(4人分:アスリート用なので、分量が少し多めです)
・玄米 :3合
・ヨーグルト:小さじ6
・しらす:100g
・しょうが:1片
・醤油:大さじ3
・みりん:大さじ3
・酒:大さじ2
【作り方】
1./玄米をとぎ、分量の水(材料外)を入れてからヨーグルトを入れます。そのまま1~2時間浸けた後、普通に炊飯します。詳しくは「玄米はヨーグルトで炊こう!」を参照してください。
2./耐熱容器に醤油、みりん、酒、しょうがを入れて、電子レンジ500Wで20秒温めます。
しょうがの香りが立ってくる
3./炊き上がったヨーグルト玄米に、2としらすを加えて混ぜ合わせます。5分ほど蒸らしたら完成です。
玄米を感じさせない食べやすさ!