全国各地で毎年、発酵サミットを開催し、10回目を迎える2017年は、東京で記念大会を行います(10月3日、4日/東京日本橋)。また、4日〜10日は「2017発酵食品フェア in 日本橋髙島屋」(仮称)も開催。これまで「全国発酵食品サミット」には、山梨県、熊本県をはじめ、多くの市町村が参加しています。前回に引き続き、今回は山梨県と「発酵食品サミットin山梨」の取組みについて紹介します。
【小泉武夫】発酵を基盤とした地域活性化の事例紹介1(福島県福島市・千葉県香取郡神崎町)
【小泉武夫】発酵を基盤とした地域活性化の事例紹介2 (石川県白山市・長野県木曾町)
【小泉武夫】発酵を基盤とした地域活性化の事例紹介3 (沖縄県石垣市・宮城県大崎市)
「2017全国発酵食品サミット in 日本橋」先行情報公開!!
山梨県
山梨県は6次産業化から始めました。横内正明前知事の肝入りで、今の後藤斎知事にも引き継がれています。私(小泉武夫)は、一般社団法人「やまなし美味しい甲斐」の顧問を務め、商品開発の指導もしています。先日、農商工連携マッチングフェアで講演してきましたが、2000人の会場が満席でした。山梨県農政部が中心となって、地酒の酒粕で漬けた富士桜ポークやキムチ、ハムなど様々な商品開発に取り組んでいます。
山梨の発酵食品に関するユニークな取り組みがあります。それは、「天空カボチャ」です。ご存じの通り、山梨はワインの産地。ブドウの木が古くなるとブドウ棚だけが残りますが、そこへ、カボチャのつるを這わせると、カボチャが上からぶらさがり、360°光が当たるようになります。このため糖度が高くなりますし、おいしくて重いカボチャが収穫できるのです。この「天空カボチャ」を発酵させた加工品を作りました。カボチャはデンプン質なので、蒸して、米麹で糖化すればカボチャの甘酒になります。それを濃縮すると、ジャムにしても何にしてもおいしいカボチャのシロップができるのです。生で売れば370円ですが、付加価値がつけば高い価格で販売できるのです。
発酵食品サミット in 山梨
2016年11月12〜13日に甲府市で開催された「発酵食品サミット in 山梨」の概要を紹介します。まず、子供たちが喜ぶようなポスターや完全攻略ブックを作りました。また、会場は数ヵ所に分かれているのですが、広い面積が確保できました。これだけ盛大に開催できたのは知事と市長と県警の協力があったからです。
山梨英和大学で行われたオープニングセレモニーは満席で、地元の高等学校や小学校の演奏などのパフォーマンス、ワインセミナーや日本酒セミナーも開催されました。県庁前庭の噴水広場は「発酵レストラン」に変わり、たくさんの出展者からおいしい発酵レシピのグルメが提供されました。
「発酵のまちづくりネットワーク協議会」では自治体同士の交流も深まっています。たとえば「発酵食品サミット in 山梨」では熊本から「くまモン」が甲府にやってきました。上田市と大崎市も姉妹都市になりました。
来場者は、2日で46,918人となり、大勢の人に来ていただきました。来場者の経済効果は3億6000万円、サミットの全体経済効果は3億7000万だそうです。今後も発酵によるまちづくりを応援していきたいと思います。
(小泉武夫)