7月7日の七夕は「笹の節句」として、素麺を食べる風習があることをご存知でしょうか?
五節句に食べる行事食のひとつで、1月7日に七草粥、3月3日に菱餅や白酒、5月5日に柏餅、9月9日の菊酒、そして七夕(しちせき)7月7日に素麺をお供えしたり食べたりして、無病息災や子孫繁栄などを願い邪気をはらうとされています。
なぜ七夕に素麺?
その昔、中国の帝の子供が7月7日に亡くなり、成仏できなかった子供は一本足の鬼となり熱病を流行らせ、鬼を鎮める為に亡くなった子供の好物であった素麺の原型と言われる索餅(さくへい・さくべい)を供えたところ、鬼は成仏し病が終息したそうです。
素麺の原型小麦菓子の索餅
これが平安時代に日本へ伝わり、7月7日に無病息災の願いを込めて索餅が供えられるようになり、宮内の七夕行事にかかせないものになりました。
やがて索餅は素麺へと名や形を変え、七夕に素麺を食べるようになったといわれています。
今でも7月7日に食べる素麺は、鬼の故事にちなんで「鬼の腸(はらわた)」と呼ばれています。
素麺は古いものほど良い?
製造後の素麺を倉庫の中で貯蔵し、高温多湿の梅雨期を越すことで一種の高温発酵をさせます。これを「厄」といいますが、「厄」を越した素麺は湿気によって酵素が活発に働き、脂質やタンパク質、デンプンなどが分解され旨味が増し、ゆでてもコシが強くのびにくい麺に変化するという報告があります。
冬に仕込み厄を越し夏に備える
中でも梅雨を1回越したものを「新物」、2回越したものを「古物(ひねもの)」、3回目の梅雨を越したものを「大古物(おおひねもの)」といい、古いものほど貴重品とされ、美味しいといわれています。
但し、古ければ古いほどいいというわけではなく、一番の食べ頃は製造から2~3年くらいで、メーカーの厳密な温度・湿度管理の元でのことなので賞味期限のうちに食べきりましょう。