【世界の発酵食通信】ヨーグルトの保存食「クルト」

カテゴリー:発酵食品全般 投稿日:2016.06.02

乳製品を食生活の重要な糧(かて)としている中央アジアの遊牧民族が暮らす地域では、ヨーグルトは当然みんなの大好物。

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家庭で作られる「アイラン」

 

ヨーグルトは、現地では「アイラン」と呼ばれている。夏の間、牛のミルクがたくさん取れる時期に盛んに食べられる。酸味が強くとても滑らかな発酵乳。しかし、これは夏の間に食べ切ってしまうのではなく、寒さが厳しい冬に向け保存食へと加工する。白くて丸いもので「クルト」という。

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作り方は、発酵させたミルク(すなわちヨーグルト)に塩を混ぜて、水を切る。水を切るのは簡単、大きな袋に入れて、草原に一日中放置しておくだけ。大自然と気候風土に任せた大らかさに感服!

また、抜けた水分は大地が吸い取り、やがて草が生えるための栄養となり、草は牛の餌となりミルクとなる。

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地面に袋ごと放置

 

そして、水分が抜け濃縮されたヨーグルトの塊を、1つずつ一口大に成型し、天日に干して乾燥させたら出来上がり!

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降水量の少ない乾燥した土地だからこそ、腐敗を気にせずに作ることができる。出来上がったクルトは、しっかりと乾燥しているため、噛むとなかなか固い。発酵乳が濃縮された強い酸味に塩味がきいている。

持ち運びが簡単なので、現地ではスナック菓子のような感覚で食べられている。まさに、モバイルフードとしての発酵乳だ。

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バザールのクルト売場

 

丸い形がメインだが、細長いものやねじれたものなど、形にもバリエーションがある。また、作られた場所によって白さのトーンも様々。バザールではたくさんの種類のクルトが売られているが、お気に入りのクルトを見つけるまで色々と試すのも楽しい。

中央アジアに行く機会があれば、通なお土産としてクルトを選びたい。

取材/文:市川亜矢子

 

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