ツルツルしたうどんのような中細の白い麺の上に、肉と野菜たっぷりのアツアツ煮込みスープがかかっている。
この料理は「ラグマン」と呼ばれている。
新疆ウイグル、ウズベキスタン、タジキスタン、カザフスタン、キルギス、トルクメニスタン。中央アジアのシルクロードエリア一帯のどこに行っても共通に見られるメニューだ。
地方によってレシピのバリエーションは様々だが、どのラグマンにも共通する要素は2つ。
1つは、麺は中力粉の小麦粉を使用し、食べる直前に作られた手打ちであること。
2つ目は、スープは羊肉もしくは牛肉とトマトをベースに、季節の野菜をふんだんに使って煮込んであること。
種類は主に3つ。
スープがたっぷりの「汁ラグマン」。
スープが少なめの「かけラグマン」。
麺と具を炒めた「焼きラグマン」。
人によってはレシピにクミンやコリアンダーを使うこともあるが、主流はスパイス不使用。
もちろん、唐辛子も使わないので辛くない。
どれも肉と野菜がしっかり煮込まれたスープの良い香りと味がし、
打ち立てのツルツルの麺をすする軽快さとともに一気に一皿を平らげてしまう。
さて、このラグマンのレシピを紹介しよう。
なんといっても、手打ちの麺をその場で作ることがポイント。
ユーラシア大陸では、何千年も前から挽(ひ)いた小麦の粉(つまり小麦粉)を捏ねて調理するという食文化が根付いているため、日本人が日々米を研(と)ぐのと同じような感覚で人々は小麦粉を捏(こ)ねている。手打ち麺なくしてラグマンなし。ぜひトライしてみよう。
スタンダードな汁ラグマンの作り方
【材料】
◼︎麺
中力粉:500g
卵:1個
水:200ml
塩:5g
サラダ油:適量
◼︎スープ(麺1kgに対する分量)
羊肉または牛肉:500g (なるべく塊肉で用意する)
トマト:200g
トマトピューレ:50g
にんにく:30g
たまねぎ:200g
にんじん:200g
ピーマン:200g
ディル(セリ科のハーブ):適量
塩:適量
サラダ油:適量
※具の野菜には、大根、白菜、セロリなども使われる
1./ボウルにサラダ油以外の麺の材料を入れ、捏ねてまとまりが出てツルツルとしてきたら丸い塊にして表面にサラダ油を塗って30分ほど寝かせる。
2./スープの材料の肉と野菜を全て一口大に切っておく。
3./1の麺の生地を手で細長く延ばしていき、延ばしたものはトグロを巻くようにして置いて表面にサラダ油を塗り15分ほど寝かせる。
4./3をさらに細麺にするように指で延ばしていく。
5./たっぷりと沸かしたお湯に3の麺を入れ て浮かんできたら1分ぐらい茹で、引き上げる。
6./大きめの鍋にサラダ油を熱し、スープの具を炒める。具を入れる順番は、 肉が最初で野菜は火の通りにくい順で。
7./具に全て火が通ったら水を入れてよく煮込み、煮込んだら塩で味を整える。
8./5の麺を器に盛り、スープをかけて出来上がり。
取材/文:市川亜矢子