能登に伝わる魚醤「いしる」に麹のチカラが加わって生まれた「いしる糀(こうじ)」(ヤマト醤油味噌/石川県金沢市)を知っていますか?2013年3月に発売以来、「これだけで味がキマる」「野菜がたっぷり食べられる」と人気が高まりつつあります。編集部でもさっそく試してみました!
糀部の女性の声から生まれた調味料
「いしる糀」誕生のきっかけは、ヤマト醤油味噌の「糀部」でした。発酵食を取り入れることで美と健康を追求する活動を行っている「糀部」で、麹や麹を使った料理のレクチャーを行うなか、「いしると麹を合わせたら?」というアイデアが生まれたといいます。
いしるとは、しょっつる、いかなご醤油とともに日本3大魚醤に挙げられる伝統的な調味料です。いわしやいかを材料に、かつては漁村で作られていたものです。山間部の農家は、米と交換に手に入れたいしるで野菜を漬け、入手が困難だった魚の味わいを楽しんでいたと言います。
いしるは、魚の旨味のぎゅっとつまった調味料です。ただ、独特の風味に塩味も強く、地元以外の人が使いこなすにはハードルの高いところがありました。
旨味・塩味・香りのバランス良し!
ところが、「糀部」でいしるに米麹を合わせて発酵・熟成させたところ、いしるの旨味を生かしつつ、さまざまな料理に使いやすい、まったく新しい調味料になったのです。
実際に「いしる糀」を口にしてみると、魚醤独特の香りの後に、コクと旨味が広がります。いしるで22~24%だった塩分量も、「いしる糀」では約11%と、味噌よりやや低い程度に抑えられています。
鍋に、野菜に、隠し味に大活躍
同社の山本耕平さんは、「いしる糀」を「野菜そのものをおいしく食べるのに適した調味料」だと言います。うどんの薬味やトムヤムクンなどスープの味付け、あるいは、おでんやカレーなどの隠し味に使ってもよいでしょう。
「味が完成されているので、パスタの味付けやドレッシングのベースとすれば、おもてなし料理が手軽に作れます。一番簡単な使い方は、マヨネーズに「いしる糀」を混ぜること。能登には、北前船でもたらされたホタテの貝殻を鍋代わりにして豆腐や野菜を煮て、いしるで味付けをする『貝焼き』という料理があるのですが、これを『いしる糀』で作るのもいいですよ」(山本さん)
「糀部」&ヤマト醤油味噌直伝のレシピで作ってみました。
「いしる糀」の貝焼き風
【材料】
・豆腐:適量
・水菜やねぎ、白菜などの野菜:適量
・「いしる糀」:少々
【作り方】
1./浅めの鍋に湯(もしくは昆布だし)を張り、「いしる糀」を加える。
2./野菜と豆腐を煮る。
野菜をたっぷり食べたいときには、手軽でおすすめの鍋。ホタテや魚を使わなくても魚介の風味が楽しめます!
いしる糀のバーニャカウダ
【材料】
・にんにく:1かけ
・玉ねぎ:100g
・「いしる糀」:60g
・オリーブオイル:80cc
・豆乳:20cc
・こしょう:少々
・茹で野菜:適量
【作り方】
1./にんにくは縦半分に切って芽を取り除く。玉ねぎは1cm幅にスライスする。
2./1を鍋で2回ゆでこぼし、ザルにあけて水気を切る。
3./2に「いしる糀」、豆乳、こしょうを加え、滑らかになるまでミキサーにかける。
4./3をソースに、野菜を頂く。
魚の旨味ぎっしりの「いしる糀」は、アンチョビのように使うのもおいしい!人気のバーニャカウダが、気軽に作れます。
取材協力・写真提供/ヤマト醤油味噌(http://www.yamato-soysauce-miso.co.jp/)