かぜ予防にねぎ!?
古くから、「ねぎを食べるとかぜをひかない」といわれたり、かぜをひくと体を温めるために「ねぎ湯」を飲む民間療法がありました。
ねぎのカゼ予防への効果を調べた例もあります。富山大学大学院医学薬学研究部生薬学研究室の林利光教授の実験では、ねぎを与えられていたマウスでA型インフルエンザウイルスの増殖を抑える効果が確認されたのです。
また、多摩動物園(東京)や福岡市動物園(福岡)では、チンパンジーのかぜ予防として、冬にねぎを与えることにしたといいます(現在、多摩動物園では通年で与えている)。
あの香りが技あり!
ねぎには、高血圧予防によいとされるカリウムや骨の形成に必要なカルシウムなどが豊富です。さらに、葉の青い部分には、βカロテンやビタミンKが多く含まれています。
ただ、ねぎの一番の特徴といえばツンとくる香りではないでしょうか。あの香りは、ねぎに含まれるアリインが空気に触れることで変わるアリシン(硫化アリルの一種)によるもの。アリシンは抗酸化作用や殺菌作用、血行改善などの効果があるとされています。
かぜをひいたときにねぎという民間療法は、アリシンなどの効果を昔の人々が経験的に知っていたのかもしれません。
ねぎの栄養成分
ねぎの使い分け
ところで、「ねぎ」と言ったときに、白いねぎと緑のねぎ、どちらを思い浮かべるでしょうか?
ねぎは、白い根の部分を食べる「根深ねぎ」と、青い葉の部分を食べる「青ねぎ」の2つに大きく分かれ、関東では前者、関西では後者がメジャーです。根深ねぎは、「白ねぎ」「長ねぎ」とも呼ばれ、土を寄せて日を当てないようにして育成します。火を通すことで甘みが増すので、鍋や焼きものに適しています。青ねぎは、香りが強いのを生かして、薬味や炒めものによく使われます。
近年は、埼玉県の深谷ねぎ、群馬県の下仁田ねぎ、京都の九条ねぎなど全国の“ご当地ねぎ”も手に入れやすくなりました。柔らかめの香りと辛味が特徴のわけぎや、辛味が強めの「あさつき」、くせがなく甘みがある「リーキ(ポロねぎ)」なども ねぎの仲間。元気がなくなりがちな冬に、ぜひねぎでパワーアップを!
購入するときは、表面の皮に張りがあり、緑の葉がみずみずしいものを選びましょう。乾燥しないようラップなどで包んで、立てて保存します。根深ねぎの葉の部分は、肉の臭み消しに使えます。
ちなみにアリシンは、犬や猫のように分解酵素を持っていない動物にとっては有害です。誤ってペットに与えないよう気をつけてください。
[参考 『日本食品標準成分表2010』]