『魚のアラ 味わい尽くす物語 小泉武夫さん、得意料理ちりばめ(2)』(朝日新聞の書評より)

カテゴリー:著書 投稿日:2019.02.09

 小泉先生の最新刊小説『骨まで愛して 粗屋五郎の築地物語』が評判になっています。多くのマスコミにも取り上げられ、朝日新聞(2019.1.25)でも紹介されました。以下は前回(1)の続きになります。

 

 「『鰤(ぶり)大根は頭を割って入れるのがいい』。小泉さんの話には実感がこもる。それもそのはず。献立は、ほぼ全て自身の“引き出し”から出したもの。料理好きで、食魔亭と名付けた自宅の台所で粗をしばしばさばいている。

 福島県小野町出身。母を早く亡くし、祖母のこしらえる「うまい、体にいい」粗料理で育てられた。尾っぽなどに酒粕(さけかす)をいれた鮭の濁酒煮(どぶろくに)の味が忘れがたい。

 そんな追憶を抱き、粗は無駄でなく立派な食材、と伝える本作。実は飽食社会に警鐘を鳴らす。『恵方巻きの大量廃棄、といった話を聞くと、やりきれませんね』

 75歳の今も手帳はびっしり。沖縄、札幌、山梨、和歌山と飛び回る。活力源は粗や発酵食品を食すことで、まさに持論を実践する。

 一番好きなのは実は書くこと。単著140冊を超え『これ読んだらうまそうと思われるかな』と思いつつ筆を走らせる。〈うま味と甘みとがチュルチュルと〉〈ペナペナとしたコクが囃して〉〈見るだけで涎(よだれ)がピュルルと湧き出て〉。弾む言葉がスパイスとなり、読めば確かに腹が減る」

(木元健)

出版社:新潮社

価格:1,404円(税込)

 

※本記事を朝日新聞社に無断で転載することを禁じます

 

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編集部
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