『魚のアラ 味わい尽くす物語 小泉武夫さん、得意料理ちりばめ(1)』(朝日新聞の書評より)

カテゴリー:著書 投稿日:2019.02.08

 小泉先生の最新刊小説『骨まで愛して 粗屋五郎の築地物語』が評判になっています。多くのマスコミにも取り上げられ、朝日新聞(2019.1.25)でも紹介されましたので2回に分けて全文を紹介します。 

 

 「人呼んで“味覚人飛行物体”。発酵学者にして、世界各地の珍味を知る小泉武夫さん。今度は、知られざる粗の滋味を伝えようと小説を書き上げた。思いを込めたタイトルは『骨まで愛して 粗屋五郎の築地物語』。
 主人公の五郎は『築地魚市場』に勤める。巨大マグロもなんのその、腕っこきの捌(さば)き屋だった。高度経済成長期、東北から集団就職で上京。仕事にかけては生一本、つくる食事も魚ばかり。妻に突如去られても新鮮な皮剥(かわはぎ)をおろすうちに心の切り替えができてしまう。そんな男が温めてきた夢をかたちにする。粗だけを使う、その名も『粗屋』という店を開く。
 『生臭いと、ほとんど捨てられてしまいますが、粗はミネラルに富んだ滋養成分の塊なんです』。小泉さんの『粗愛』は筋金入りだ。『わき出てくる複雑極まりないうまみ。共通してうまいのは肝ですね。こりゃもうね』
 烏賊(いか)の腸煮(わたに)、皮剥の肝和え(きもあえ)、煮凝り(にこごり)をぶっかけた丼。物語では市場の新鮮な材料が五郎40年の魚河岸人の技で彩られる。食前酒には鮃(ひらめ)の骨酒(こつざけ)。寒い日は河豚(ふぐ)の鰭酒(ひれざけ)。暑い日はキリリと冷やした日本酒に海鼠(なまこ)の腸を入れた海鼠腸(このわた)酒。
 ほかにも皮、浮袋、心臓などをいかした品々。調味料にも金をかけ、醤油には千葉・銚子や和歌山・湯浅の老舗。味噌も赤は仙台、豆は尾張、甘みは京都といった具合。盛り付けの妙を念頭に、赤は金目鯛(きんめだい)、桃は甘鯛(あまだい)、黒は烏賊墨(いかすみ)と五郎さんは目配りがきく。

(続く)

 

出版社:新潮社

価格:1,404円(税込)

 

※本記事を朝日新聞社に無断で転載することを禁じます

 

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編集部
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