いろいろな味噌
味噌は地域によっていろいろな種類がありますが、基本となる原料は大豆、麹、塩ととてもシンプル。材料はとてもシンプルですが、麹の種類や配合比率、塩の量、熟成期間などによって、その違いが生まれます。
代表的な味噌の種類について紹介しましょう。
麹の種類、麹や塩の比率、熟成期間による違い
●米麹・麦麹・豆麹
味噌に使う麹には、米麹、麦麹、豆麹がありますが、麹の種類によって米味噌、麦味噌、豆味噌と呼ばれます。味噌の生産量のうち8割は米味噌といわれ、ただ「味噌」という場合は一般に米味噌のことをさします。
米味噌は全国的に使われていますが、麦味噌は主に九州と四国地方、関東地方で、豆味噌は八丁味噌や赤だしなどとも呼ばれ、中京地方(愛知県、三重県、岐阜県)で多く使われています。九州や四国の麦味噌は甘口で色が淡いものが多く、関東の麦味噌は辛口で色が濃い赤味噌が多くなります。
豆味噌は米や麦は使わず、大豆に直接麹菌をつけて豆麹を作り、塩水と仕込み、長期間、発酵熟成させて作るのが特徴です。
●麹の量、塩の量
大豆に対して麹をどのくらいの比率で配合しているかは、味噌の重要なポイントです。麹の量が多いほど、発酵熟成が早くなり、味噌は甘くなります。また、塩が少ないと、味噌は甘くなり、多いと辛くなります。
一般に、辛口味噌は塩分11~13%、甘口味噌は塩分7~12%、甘味噌は塩分5~7%程度です。
●長期熟成と短期熟成
味噌は熟成期間によって色が変わります。熟成期間が短いと、大豆の色に近い白っぽい色に、熟成期間が長かったり、温度が高い状態に置くと、茶色く変化。味噌は色によって大きく3種類に分かれ、白味噌、淡色味噌、赤味噌と呼ばれます。
この色の変化は、メイラード反応(褐変)というもので、大豆などのアミノ酸が糖と反応し、褐色に変化する現象です。発酵熟成がすすむほど、メイラード反応もすすむため、味噌の色は時間の経過とともに濃くなっていきます。メイラード反応が起こるとメラノイジンという物質が増えますが、この物質は近年、抗酸化作用や免疫力を上げる効果があるいわれて、注目されています。
味噌の特徴を知って、上手に使い分け
以上のように、味噌にはいろいろな種類がありますが、それぞれの特徴を知っておくと、日々の味噌汁を作るのに役立ちます。
たとえば辛口の米味噌は、どんな出汁や具とも合う万能味噌。素材を選びません。甘口の麦みそはサツマイモやカボチャなど甘い野菜と相性よし。辛口の豆味噌は旨みが強く、なめこやしじみ、魚介やゴボウなどインパクトが強い素材と合います。
また、「調合味噌」とラベルに書いてあるのは、米味噌、麦味噌、豆味噌など2種類以上の味噌を混ぜたり、米麹と麦麹を混合して仕込んだ味噌のことで、どんな素材とも合わせやすいです。
味噌汁に使う味噌は、基本的に何を使ってもよく、2種類以上の味噌を合わせるのもおすすめです。味噌は3~4種類を常備して、具の素材によって味噌を選ぶ習慣をつけると、味噌汁作りが楽しくなります。
<代表的な味噌の種類>
■米味噌
辛口濃口赤味噌<仙台味噌>
辛口淡色味噌<信州味噌>
白甘味噌<西京味噌>
■麦味噌
甘口麦味噌<九州麦味噌>
■豆味噌
赤味噌<八丁味噌>
■調合味噌
合わせ味噌
撮影:信長江美
文・レシピ:オザワエイコ
手作り調味料研究家。編集者。自家製調味料の仕込み教室「かもしラボ」主宰。著書に『だからつくる調味料』(ブロンズ新社)がある。