日本一幸せな子どもたち(2)【小泉武夫・食べるということ(56)】

カテゴリー:食情報 投稿日:2018.07.09

心も体も健やかにする“自産自消教育”

 給食の食材の92%を地元で調達し、小学生が稲を育て、そのお米を給食で食べるなどの教育を取り入れる南国市では、病気がちの子がいなくなり、成績が良くなったり、いじめがなくなる、食べ物残す子がいなくなった等の成果がありました。

 素晴らしいことだと思いませんか? 自産自消の取り組みは、戦後の日本で忘れられていた食育でもあります。そして、地元の食べ物で育った子どもたちは、自分の町が「好き」と言えるようになり、必ずや郷土の将来の担い手になってくれるものと私は感じます。

 また、4つの変化の中で、「病気がちの子どもがいなくなった」という結果にも、注目して欲しいと思います。子どもたちの健康状態が改善されたのは、給食を和食中心の献立に切り替えたことが大きな要因だと私は考えています。和食が多くなれば、必然的に繊維質の食物を多く摂るようになります。繊維質には免疫力を高める効果があるのです。

 和食中心、すなわち民族の伝統的な食文化に立ち返ることによって、南国市の子どもたちは健康な体と健全な心を獲得したのです。私はこれまでに何度も南国市を訪れていますが、子どもたちと接するたびに、こんな思いを強くします。ここには“日本一幸せな子どもたち”が暮らしている、と。

※トップ写真はイメージです。

小泉武夫

 

※本記事は小泉センセイのCDブック『民族と食の文化 食べるということ』から抜粋しています。

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編集部
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