日本人的肉食のすすめ【小泉武夫・食べるということ(47)】

カテゴリー:食情報
投稿日:2018.05.05

 なぜ、野菜が大切なのか

 食品として優れているところは、肉にもたくさんあります。それを「食べてはいけない」とは、私は今までに一度も言ったことはありません。私が注意を喚起しているのは、肉食中心の食生活は日本人の体質には合わないということ、肉には、コレステロールや中性脂肪といった成人病につながる物質が多量に含まれていることを軽視すべきではないということなのです。

 はっきり言うと、今の日本人は肉の食べ方が非常に下手なのです。肉はぜいたくなものだ、肉はうまいものだ、肉はスタミナがつくのだと、肉をありがたがって、肉ばかり食べる傾向が日本人には顕著に見受けられます。が、いくら肉が好きだからといって、肉ばかり食べていたら、体にいいはずがないのです。肉食の文化圏へ行って、肉の食べ方を調査してみると、ほとんどの民族が中和剤を持っています。サラダをたくさん食べたり、付け合せの野菜を添えたり、野菜と一緒に調理したり、食後に果物やヨーグルトを食べたり。お隣の韓国でも肉はたくさん食べますが、焼肉はサンチュというサラダ菜やエゴマの葉などで包んで食べるのが一般的です。また、焼肉屋さんのメニューには必ずナムルという茹で野菜の和え物がありますが、入っている豆もやし、ぜんまい、ほうれん草、大根などの野菜は繊維たっぷりの食材です。さらに、キムチです。これは日本の漬物に勝るとも劣らない優れた発酵食品で、脂肪を分解し、コレステロールの過剰摂取を防いでくれるという、肉料理には理想的な中和剤なのです。

 

 すき焼きは日本人の知恵

 私たち日本人も、肉を食べるときは必ず中和剤になる食べ物を一緒にとるように心掛けなければなりません。その意味では、日本で生まれたすき焼きという肉料理は、とても上手な肉の食べ方といえます。主役は牛肉ですが、鍋には主役を圧倒する量の野菜が加わります。葱、白菜、春菊、椎茸、焼き豆腐、白滝、等々。これらの脇役たちは繊維質の多い食べ物の代表選手みたいなもの。すき焼きは、日本人が生んだ、日本人のための肉料理ともいえるのです。

 同じく日本で生まれた肉料理に、とんかつがあります。明治時代にヨーロッパから伝わったカツレツを日本向けにつくり変えた料理ですが、そこにキャベツの千切りをどっさり添えたのは、日本人らしい素晴らしい知恵だという気がします。

 肉が好きな日本人はたくさんいます。たまには肉を食べたっていいのです。ただし、ひたすら肉ばかり食べるのではなく、繊維質の多い野菜と一緒に、日本人の体に合った食べ方をすること。それさえきちんと守っていれば、肉食には「薬食い」といわれるだけの健康増進効果が望めると、私は思っています。

小泉武夫

 

※本記事は小泉センセイのCDブック『民族と食の文化 食べるということ』から抜粋しています。

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この記事を書いた人

編集部
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