一日一回、うんこを見よう!【小泉武夫・食べるということ(41)】

カテゴリー:食情報
投稿日:2018.03.23

 汚い話だと感じた人もいるかもしれません。しかし、それを承知の上で私がうんこの話をしていることには、理由があります。

 

腸の病気と平均寿命の関係

 沖縄県の男性の平均寿命が伸びていないことは、『民族と食の文化 食べるということ』内で詳しく述べました。そこで働き盛りの世代の疾患が深刻だと言いましたが、顕著に増えているのが潰瘍性大腸炎という病気なのです。

 わかりやすく言えば、発端はおでき、つまり吹き出物みたいなものです。それが大腸の粘膜にできる病気です。皮膚にできた吹き出物なら、テトラサイクリン系抗生物質でも塗ってやれば、すぐに治りますが、腸の中では見えません。お腹がしくしく痛むような自覚症状はありますが、断続的な痛みなので、収まれば普通の人は「お腹が痛かったけれど治った」くらいにしか思わないものです。ちょうど、虫歯の初期段階のようなものです。

 しかし、痛みが治ったからといって虫歯がなくなってはいないように、腸にできた病巣も消えたわけではないのです。放っておけば症状は悪化し、そのうちに激痛がしたり、微熱が出たりするようになります。そうなる前に病院で診察を受け、適切な治療を受ければ大事にはいたりませんが、よほど酷い状態になっても、30代くらいの男性は元気ですから、「慢性的な腹痛」とおもって我慢する人が多いのです。

 それでも、大腸の炎症は容赦なく進行します。腸の中では炎症を起こした部分が膿と血液とでパンパンに腫れています。あまりの痛みに耐えられなくなり、ウッと前にかがんだ瞬間、腹筋に圧迫されて腫れた患部が破けてしまう。こうなると、急性腹膜炎を起こし、緊急手術をしなければ助かりません。

 大急ぎで救急車を呼んでも、沖縄県には困った事情があります。鉄道のない沖縄県の交通手段は自動車が中心になりますが、狭い道路も多く、市街地は平日でも激しく渋滞します。長い渋滞に巻き込まれ、ようやく病院にたどり着いたときには手遅れになっていた……。

 

うんこは腸の健康診断書

 これは実際に私が聞いた話です。消防庁が発表した救急車の都道府県別平均搬送時間を見れば、決して沖縄県だけが患者の搬送に時間がかかるというわけではありませんが、潰瘍性大腸炎で命を落としてしまう働き盛りの男性が増えているという現実に変わりはありません。

 食生活の変化によって、日本人に腸の疾患が多くなった今、自分の腸の状態を、自分の目で確認するもっとも簡単な方法が、うんこを見ることなのです。潰瘍性大腸炎も、症状が進行すれば、わずかですが血便が出ます。それを見つけて、すぐに病院に駆け込めば、最悪の事態は自分自身の判断で避けられるのです。

 日ごろから自分がどんな食生活をして、どれだけ免疫が高まっているか(あるいは低下しているか)は、必ずうんこに表れます。うんこは、食生活の乱れや腸の状態を毎日毎日正直に採点してくれているのです。汚いから早く水に流してしまおうなんて思わずに、自分のうんこは健康状態の自己診断書だと思って、一日一回じっくり見ることを私はおすすめしたいのです。

小泉武夫

 

※本記事は小泉センセイのCDブック『民族と食の文化 食べるということ』から抜粋しています。

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この記事を書いた人

編集部
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