「かんずり」とは、新潟県妙高の地元産の唐辛子、塩、柚子、麹を原材料に、3年間じっくりと発酵させた日本伝統の辛味調味料です。
元々、地元では上杉謙信の時代まで遡る昔から各家庭で辛味調味料が手作りされていて、これが「かんずり」のルーツと言われています。現在では、妙高市にある「有限会社かんずり」一社だけが製造販売を手掛けています。
こだわりの材料と製法、発酵パワーでおいしく
雪さらしの様子
「有限会社かんずり」では、気候風土を活かし、「かんずり」の伝統の製法を守っています。塩は天然海水塩、麹は地場産の米を使い、契約農家に栽培を依頼している唐辛子は、自然交配されたかんずり専用のものです。この唐辛子を9月頃に塩で漬け込み、翌年1月の大寒の頃(今年は1月21日)に雪の上に振り撒(ま)く「雪さらし」を行います。これにより、唐辛子のアクを雪が吸い取り、塩が抜け甘味が増していきます。
契約農家で栽培される専用の唐辛子
雪さらしした後、唐辛子・柚子・米麹・塩等を混ぜ合わせた元仕込みを行います。ここから丸3年、長い熟成・発酵に入ります。そして3年後、初雪が降る頃に、商品になる一歩手前の仕込み唐辛子を外に置く「寒ざらし」を行います。唐辛子を引き締め、より一層深みを増した味に仕上げるためです。これらの長い年月と工程を経て、やっと「かんずり」ができあがるのです。
タバスコとは一味違う辛味とうま味
できあがった「かんずり」は、唐辛子のまろやかな辛味とうま味に加え、麹の発酵による甘みや深みが感じられ、料理に少し加えただけで、その味を引き立てる名脇役になります。辛味調味料として有名なタバスコも、唐辛子を熟成・発酵させたものですが、日本料理には相性の点で、麹のうま味が感じられる「かんずり」の方に軍配が上がりそうです。
「かんずり」を使ったレシピ
・山菜の「かんずり」醤油マヨネーズあえ
マヨネーズに醤油と「かんずり」を少し加え、ゆでたワラビ、タラの芽、コゴミなどを加えてあえる。
・「かんずり」味噌田楽
味噌にみりんと「かんずり」を加え、よく練ってこんにゃくや豆腐に塗る。
・揚げおかきの「かんずり」たれからみ
醤油3、砂糖2、みりん1、かんずり1の割合で混ぜたたれを、揚げたおかきにかけてからませる。
※トップ写真は焼き鳥丼。「かんずり」をつけて食べると絶品だ。