鯨からイノシシまで(1)【小泉武夫・賢者の非常食(31)】 

カテゴリー:食情報 投稿日:2018.11.24

 実は鯨が増えすぎている

 反捕鯨の人たちだけでなく、一般の人にも「鯨は絶滅の危機にある」という考えが蔓延していますが、商業捕鯨が禁止されて25年が経つ現在、鯨は増えすぎているという現状です。いまだにいくつかの種は保護が必要ですが、ほとんどの種は資源状況が回復し、マッコウクジラやミンククジラは増えすぎています(例えば南氷洋では、ミンククジラは約78万頭、世界中の海では、ナガスクジラが約100万頭確認されている)。逆に、保護しすぎたために海の生態系が崩れかけ、鯨の餌になってほかの魚が少なくなる現象が起きているのです。鯨は全人類が食べる4倍以上の魚を食べますから、今では人間の食べる魚が足りなくなりつつあることのほうが問題になっています。

 

 鯨を安く食べるためにも 

 かつて日本人は、重要なタンパク源として鯨肉に助けられてきました。食料自給率の低下や口蹄疫(こうていえき)の世界的発生などでこれからも、そうした時代がくることでしょう。そのためには、反捕鯨国の言いなりにならず、自国の主張を堂々と展開すべきだと思います。

 鯨の食べ方は、多岐にわたります。刺身、ステーキ(ゲイテキ)、カツレツ(ゲイカツ)、竜田揚げ、煮付け、さらし鯨、すき焼き(ゲイスキ)などです。保存食としては、缶詰やタレ(タレに漬けて天日で乾燥させた干し肉)、味噌漬けなどがあります。

 ただ、現在の鯨肉は高いのが難点です。調査捕鯨で獲った肉は、それを売ることによって次の調査捕鯨の費用を捻出(ねんしゅつ)しなければなりませんので仕方がありませんが、価格を安くするためにも一日も早く、商業捕鯨が復活できる日が待たれます。

小泉武夫

  •                    

\  この記事をSNSでシェアしよう!  /

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう!
小泉武夫 食マガジンの最新情報を毎日お届け

この記事を書いた人

編集部
「丸ごと小泉武夫 食 マガジン」は「食」に特化した情報サイトです。 発酵食を中心とした情報を発信していきます。

あわせて読みたい