香港で飲茶を食べるなら、絶対行くべき古き良き店がある。それが「蓮香楼」だ。
蓮香楼
約80年の歴史を持ち、店内は昔ながらの香港の食堂といった雰囲気。店内は広く、100人近く入れるのではないだろうか。
朝6時から夜まで休みなくやっているけれど、飲茶は売り切れ次第終了で、大抵16時頃に終わってしまう。はっきり言って、いつ行ったってものすごく混んでいるから、落ち着いて食べたいという人には向いていないかもしれない。
いつ行っても混雑している
円形のテーブル席に着くやいなや、荒っぽくお湯で濡れた急須と小さな茶碗、お湯が入ったボウルが机に置かれる。茶碗は、出された湯の中で自分で洗う。
茶碗は湯の中で自分で洗う
そうこうしている間に、おばちゃんたちがワゴンを押して厨房から出てくる。ワゴンに、湯気のあがった蒸篭がいくつも積み重ねられているのが見えたら、この段階でオーダー票をつかんで、パッと席を立ち、ワゴンへと走らなくてはいけない。
手前にある紙がオーダー票
このタイミングを逃すと、もう人混みでワゴンへと近づけない。
ワゴンを押すおばちゃん
人混みでワゴンへと近づけない
つまり、この店では、注文を取ってくれる人は存在しないのだ。飲茶を売るおばちゃんに、なんの飲茶が欲しいか伝えて、ゲットしなくてはならない。
あまり英語は通じないが、何語でもいいから人ごみの前に出るようにして、欲しい飲茶を指差して叫ぶ(一番おすすめなのは、同じテーブルで優しい現地の人を見つけて、その人に自分の分も取ってもらうことだ)。
おばちゃんが運よくこちらを向いてくれたら、オーダー票にサインして飲茶を渡してくれるだろう。飲茶の種類はいろいろあるが、選んでいる暇はない。混んでいるときは、何でもありつけたならラッキーなのだ。
ちなみに、この日食べることができた飲茶は、椎茸の乗ったしゅうまい1蒸篭と、えび餃子2蒸篭であった。
椎茸のしゅうまい
えび餃子
他にもスペアリブの豆豉蒸しや、揚げ湯葉などが人影の間から見えたが、あっという間になくなってしまった。
さて、分厚いどんこが乗ったしゅうまいは、豚の挽肉から店で叩いて作っているらしく、肉の大きさがわずかにまばらで口に入れると肉汁がじゅわっと出てくる。それが肉厚椎茸の汁と重なり合う。えびしゅうまいは、中が透けて見える薄い皮に包まれたえびがプリプリで、シンプルながらえびの旨みとお茶の葉で蒸しているような香りが口の中で広がる。誰もが、酢もしょうゆもつけずに食べている。
おいしいわ、熱いわ、次の飲茶がいつ出てくるか気になるわ……で幸せな時間だけど、落ち着かないのは仕方がない。
ここは香港人の食べ物に対するエネルギーを全身で浴びることができる店だ。心してチャレンジしてほしい。
●蓮香楼
飲茶以外に夜のメニューもあるが、まずは飲茶を食べに行きたい。
住所:中環威霊頓街160-164号
営業時間:早朝06:00〜23:00(飲茶は17:00まで)
Yoko