今回の酸っぱさのテーマは「菊」です。
毎年、今頃の時期になると、夏惜しむ、とつぶやきながら食べる、私の定番の菊花ごはんをご紹介いたします。五節句の最後、九月九日は、陽とされる奇数の中で最大の「九」という数字が二つ重なる日で、元は中国から伝わった慣わしですが、日本でも「重陽の節句」として平安の頃から、宮中などで邪気を払い、不老長寿を願う行事が行われてきた節句のひとつです。この日は、日本酒に菊の花びらを浮かべた菊酒を飲む、菊の料理を食べるなど、菊とともに育まれてきた慣わしで、別名菊の節句と呼ばれています。
菊の香りは米酢の旨みと酸っぱさと好相性。合わせ酢漬けにした菊の花びらをごはんに混ぜて、頂きます。目にも、舌にも、初秋を感じられる一品です。
菊花ごはんの作り方
【材料】(4~6人分)
・米:2と1/2合
・食用菊:1パック
※黄色の食用菊や紫色のもってのほかなどをご使用ください。
<食用菊の下ゆで用>
・米酢:適量
・塩:適量
<合わせ酢>
・米酢:1/2カップ
・だし:大さじ3
・砂糖:大さじ1
・みりん:大さじ1
・塩:小さじ1/4
<ごはん用>
・塩:小さじ1/2
・白ごま:大さじ1
【作り方】
1./食用菊の花びらを外す。
食用菊を流水で洗い、花びらを外す
中心部以外の花びらをすべて外す
2./熱湯に米酢と塩入れ、1の食用菊の花びらを茹で、流水で熱を取り、10分ほど水にさらす。
食用菊の花びらが水に浸かるように
3./鍋に米酢1/2カップ・だし大さじ3・砂糖大さじ1・みりん大さじ1・塩小さじ1/4を入れ、ひと煮立ちさせ、冷ます。
4./2の食用菊の花びらをしぼり、3に漬ける。
花びら全体を合わせ酢に浸かるように
5./研いだ米に、水と塩小さじ1/2を入れ、米を炊く(いつも通りの白米炊飯でOK)。
6./炊けたら、ごはんを天地返しし、4の食用菊の花びらをすこし搾り、炒って香りを出した白ごまとともに、ごはんを切るように混ぜ合わせたら出来上がり。
ごはんの熱で菊の香りが漂う
食用菊✕米酢の「漬け菊花」は、食用菊の秋のさわやかな香りを食卓に運んでくれる一品です。ごはんに合わせるほか、大根おろしと和えてみてください。
日本酒に菊花を浮かべた菊酒も一興
(文・写真◎奥田ここ)
国内外各地の市場を「師」とあおぎ、様々なスタイルでの和食及びイタリア家庭料理の料理教室を主宰。各種媒体・広告へのレシピ提供や食材産地の取材および食に関する企画・執筆、オーダーメイド仕様の出張料理など、国内外問わず活動中。素材の味を大切にし無駄なく使い切る献立作りを心掛けている。
kokookuda(https://www.instagram.com/kokookuda/)