♪ コンコンチキチン、コンチキチン。
7月。独特のお囃子が流れ、京都人の血が騒ぎ出します。
「祇園祭りや。鱧(ハモ)、食べよ」。
祇園祭りは、17日の山鉾巡行だけでなく、1日から31日まで関連行事が目白押し。その間「鱧月間」と言っていいくらい、鱧は食卓によくのぼります。骨切り鱧1枚を使って「鱧の落とし」と「ぼたん鱧のお吸物」を作りましょう。
ウナギより凄い?! 鱧の栄養
鱧はウナギより低カロリー、低脂質、高たんぱく、カルシウムの含有は倍以上ともいわれます。特筆すべきは、関節炎や神経痛に効能のあるコンドロイチン硫酸を豊富に含んでいることです。夏本番を迎える前に、ぜひ体に入れておきたい食材です。鱧には3千本以上もの骨があるので、「骨切り」を済ませたものを買ってください。骨切り鱧を熱湯にくぐらせて「鱧の落とし」を作り、その熱湯を使って「ぼたん鱧のお吸物」を作ります。
骨切り鱧
~~鱧の落とし~~
別名「湯引き鱧」。梅醤油タレで食べるのが定番です。熱湯でさっとゆでた鱧をすぐに氷水にくぐらせ、身を締めるのがコツ。鱧をゆでた熱湯は「ぼたん鱧のお吸物」で使うので、捨てないでください。
【材料】
・梅干し:大1個
・うすくち醤油(なければ濃いくち醤油):小さじ1
・みりん:小さじ1(梅の酸っぱさに応じて加減する)
・顆粒だし:少々
・鱧(骨切りしたもの):1枚(150~200g)
・水500ml
・氷水:適量
【作り方】
1./梅干しの種を取り除き、包丁の背で叩いてペースト状にする。
2./1を器に入れて、みりん、醤油、顆粒だしを加えて混ぜる。梅の酸っぱさに応じて、みりんを加減する。
梅醤油タレのできあがり
3./骨切り鱧を3㎝程に切る。「ぼたん鱧の吸物」用に椀の数だけ取り分けておく。
4./鍋に水を入れて強火で沸かす。沸騰したら、3の鱧を入れる。すぐに身が縮れるので、ひっくり返し、身と皮の両面に火を通す。火を通し過ぎない。しゃぶしゃぶ程度でよい。熱湯は捨てない。
5./4の鱧を、氷水にさっとくぐらせる。キッチンペーパーで、水気を軽く拭き取る。
6./器にキュウリなどの野菜を敷いて、5の鱧を盛付ける。
7./梅醤油タレをかける。
めでたい日の丸模様の「お祭り料理」
~~ぼたん鱧のお吸物~~
鱧からは、とても美味しいだしが出ますので、吸物の汁には「鱧の落とし」の工程4の湯を使います。鱧は、取り分けておいた物を用います。
【材料】(4人分)
・鱧:4切れ
・片栗粉:適量
・湯引き鱧のだし汁:500ml(「鱧の落とし」の工程4の湯を使用)
・昆布:1枚(2㎝×10㎝程度の物)
・水:100ml
・塩:小さじ1/2
・顆粒だし:少々
・うすくち醤油(なければ濃いくち醤油):少々
・ミツバ:適宜
・あれば青ユズ:少々(なくてもよい)
【作り方】
1./昆布と水を器に入れ、電子レンジ200Wで2分温めて、昆布水を作っておく。
2./鱧の切り身に薄く片栗粉を付ける。はたいて余分な粉を落とす。
3,/「鱧の落とし」の工程4の湯を網じゃくしで漉し、火にかける。沸騰したら、2の鱧をくぐらせる。鱧に火が通って美しく縮れたら(この状態を「ぼたん鱧」という)、取り出して椀に入れる。
ぼたん鱧とトロみの付いただし汁
4./3の鍋を弱火にし、昆布水、塩、顆粒だし、醤油を入れて味つけする。
5./鱧にミツバを添え載せる。4のだし汁を、静かに注ぎ入れる。青ユズを小さく切って、浮かす。
上品なコクが美味!
福田恭子/フリーランス・ライター。京都市生まれ。ドイツ・テュービンゲン大学で学ぶ。文化を専門として茶道家元や京都の老舗料理店の広報誌編集長を務め、国内各地や世界50カ国で取材。