小泉先生の発案
福井県敦賀市の古刹、西福寺(さいふくじ)が、御影堂(国重要文化)を修復する浄財を募る一環として、『西福寺門前みそ』の製造販売事業を始めることになりました。この事業は、昨年10月、西福寺の修復活動に賛同した小泉武夫発酵文化推進機構理事長(東京農業大学名誉教授)の同寺での講演会がきっかけ。修復費用が不足している状況を知った小泉武夫先生が、みそ作りの事業を提案。これに賛同した西福寺文化事業奉賛会の辻正則副会長らのグループが手がけてきました。
西園寺文化事業奉賛会の辻正則副会長
幻の大豆「大浜大豆」
みその仕込みは、辻副会長の依頼を受けた古五商店(南越前町今庄)の吉田良治社長が協力。
仕込みに必要な樽などを用意。みそは石川県珠洲市の長く生産が途絶えていた、香り、甘味に優れた幻の大豆「大浜大豆」を使用することになりました。麹は西福寺周辺で収穫された米を使い、水も境内から出る(福井県名水百選に選ばれた)名水で西福寺ならではのこだわりの味を目指しています(当面は約500kg)。
西福寺ならではの味噌造りに勤しむ
「西福寺門前みそ」は来年秋に、同寺を通して販売される見通し。辻副会長によると「第一期の阿弥陀堂修復に3億9700万円かかりました。第二期の御影堂修復には約20億円かかるとみられ、民間の負担額は2億円。まだその額に遠く及ばない状況です。古人が遺した大切な財産をこのままにしておけません。もっともっと多くの人に知ってもらいたいと願っています。小泉先生のみそ作りのご提案をさらなる奉賛活動の原動力にさせていただきます」
西福寺
修繕真っ最中
西福寺御影堂修復は、北陸新幹線の敦賀開業後(2023年春予定)の数年の間が工事完了の目標となっているそうです。全国からの大きな関心が待たれています。
◎西福寺文化財奉賛会事務局/0770-36-4168
西福寺メモ
西福寺は良如上人が開いた(1368年創建)浄土宗鎮西派の寺院。御影堂・阿弥陀堂・書院などの主要建物が国の重要文化財指定。また、国の名勝に指定されている1400坪の書院庭園は江戸中期の作、極楽浄土を地上に表現したともいわれ四季を通じで閑寂の趣深き美しさで知られている。応仁の乱を避けて都から移されたという重要文化財の絵画や書も多く所蔵。「越の秀嶺 西福寺」と称される。