九州産ワインに注目集まる!! 気候克服してブドウ生産、製法にも工夫

カテゴリー:ニュース, 酒
投稿日:2017.02.17

九州産のブドウを原料に、地元のワイナリーが醸造した「九州ワイン」に愛好家たちの注目が集まっています。九州は雨や台風が多い気候に加えて火山灰質の土壌が多く、ブドウの生産には厳しい地域ですが、生産農家は防風林や栽培方法を工夫し、土壌改良に地道に取り組むことで克服。地元産のブドウの風味を生かすようワイナリーも醸造技術を高め、世界的にも評価される銘柄も生まれています。「日本ワイン」への人気も後押しとなり、さらなる知名度の向上と需要の拡大を目指しています。

 

「熊本らしいワインを」

「地産地消」を掲げて1999年に設立された「熊本ワイン(熊本市)」。昨年、国産ブドウ100%でつくられた日本ワインの審査会である「日本ワインコンクール2016」で、「マスカット・ベーリーA 樽熟成 2014年」が国内改良品種・赤部門の金賞に選ばれました。全国の96ワイナリーから出品された694点の銘柄のうち、金賞を受賞した24銘柄の1つです。九州からは大分県の安心院(あじむ)葡萄酒工房の「安心院スパークリングワイン 2014」も金賞を受賞しました。

熊本ワイン

 

2009年には熊本ワインの「菊鹿(きくか)ナイトハーベスト」が、世界27ヵ国から出品された国際ワイン品評会「ジャパン・ワイン・チャレンジ」の新世界白ワイン部門で日本産初の最優秀賞を獲得。後発ですが、同社産のワインは数々の受賞実績があります。幸山賢一社長は「コンクールでの入賞を目指すことは、知名度と技術の向上に必要だと考えています。継続してチャレンジすることで醸造技術の精度も高まります」と話します。

山鹿市菊鹿町産のブドウが原料の「菊鹿ワイン」シリーズは、発売するとすぐ売り切れる人気ぶりです。多雨に加え、中山間地というブドウ栽培には厳しい土地ですが、生産農家は畑が湿らないように水よけシートを敷き、防除を早めに行うなど地道な取り組みで品質を向上させてきました。菊鹿ワインの需要の高まりを受けて、同社は2018年度に菊鹿町に新工場を建設する予定です。ワインの生産増に合わせ、同町のブドウ作付面積も15%の11haにまで拡大する見通しです。

幸山社長は「『菊鹿ワイン』は、マンゴーのような南国の果実を感じさせる熊本の特色がよく出ているワインです。地域の生産農家と協力して、これからも熊本らしいワインをつくっていきたい」と語ります。

山鹿市菊鹿町産のブドウ

菊鹿シャルドネ(白)

 

地道に土壌を改良

九州のワインづくりのさきがけ的なワイナリーが、宮崎県都農(つの)町の「都農ワイナリー」です。年間の降雨量が4000mm以上と、世界のブドウ産地の5倍以上もの雨が降る都農町は、ブドウづくりには不向きな土地と言われていました。収穫期と台風の時期が重なるという悪条件の中、生産農家は防風林の植樹や排水対策に取り組み、ブドウに必要とされるミネラル分が乏しい「黒ボク土」という火山灰土壌も、地道に堆肥を施してブドウ樹木が育つ土へと改良することで、同町は九州有数のブドウの産地となりました。

ワイナリー外観

 

ワインづくりの構想が立ち上がったのは、1989年。都農産ブドウという「テロワール(土地の香り)」を生かしたワインをつくろうと、町も出資する第3セクターとして都農ワイナリーが設立されました。醸造用ブドウの栽培は、欧州のような垣根方式ではなく、多湿対策として風通しのよい平棚方式で行うなど独自の取り組みを進めています。

平棚方式のブドウ園

 

1996年11月に初出荷して以来、年間24万本を生産して3億円ほどを売り上げるまでになりました。今後10年間で、周辺の遊休農地も活用して原料ブドウの生産を増やし、年間30万本、5億円の売り上げにまで拡大する計画です。全国展開する飲食チェーンとも提携し、販路の拡大も図ります。同社の赤尾誠二・工場長は「都農ならではのワインづくりにこだわるとともに、全国的な知名度の向上と、ワイナリーに足を運んでもらえる仕掛けづくりが今後の課題です」と話します。

看板商品「キャンベル・アーリー」

 

福岡県北九州市は昨年10月、国家戦略特区の「ワイン特区」の認定を受けました。果実酒の製造免許に必要な製造量の最低数量基準が大幅に緩和されることで、小規模なワイナリーの参入が可能となります。同市若松区の有毛地区でブドウとワインづくりの構想があり、実現すれば同市では初のワイナリーが誕生することになります。市では地域ブランドのワインを契機にした観光振興を進める方針です。

国税庁によると、九州地域のワイナリーは16ヵ所あります。気候や土壌のハンディを克服してつくられる九州ワインは日本ワインの世界をいっそう広げ、私たちにワインの新たな楽しみをもたらしてくれることになります。

九州ワインのこれからに注目していきたいと思います。

 

「熊本ワイン」:http://www.kumamotowine.co.jp/

「都農ワイナリー」:http://tsunowine.com/index.html

 

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この記事を書いた人

編集部
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