琉球料理と泡盛(黒麹菌)を世界遺産に! 小泉武夫・東京農大名誉教授が沖縄で呼びかけた

カテゴリー:ニュース 投稿日:2016.09.27

9月18日、シンポジウム「『琉球料理』および黒麹菌による『琉球泡盛』文化圏の世界無形文化遺産登録に向けて」(主催・世界遺産登録推進委員会)が沖縄県那覇市で開かれ、小泉武夫・東京農業大学名誉教授が基調講演を行った。

小泉・名誉教授の基調講演の主旨は次の通り。

——世界遺産はすべて保護遺産。保護する意味がないと世界遺産には登録できない。だから2013年世界遺産に登録された和食は日本の素晴らしい文化だが、外来の食文化が入り衰退してきたので、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が保護を決定した。

琉球料理と泡盛もまた然り。琉球料理は類例を見ない「薬食同源」の食文化で、食べ物は命、薬だと伝えられてきた。だからこそ沖縄は最も平均寿命が長い県だった。しかし、最近は男性は全国30位、女性は3位にまで下がった(2013年)。食生活の激変が引き金を引いている。素晴らしい文化を持つ琉球料理を守らないといけない。

また、黒麹菌は日本醸造学会が2006年に「国菌」に指定した。日本一売れる焼酎は宮崎県の「黒」という名前がつく焼酎だが、黒麹菌は沖縄のものだ。泡盛のもろみをなめると梅干やレモンのように酸っぱい。黒麹菌により強いクエン酸が生じることで空気中の腐敗菌が入らない。本州で暖かい季節に日本酒を造れば腐るが、沖縄では黒麹菌のおかげで一年中、泡盛を造ることができる。黒麹菌は医薬品や食品の製造現場でも使用されている沖縄特有の菌で世界的にも注目されている。

琉球料理と黒麹菌を使った泡盛の世界遺産登録のキーワードは「長寿」だ。長寿食の食文化が崩れながら今の沖縄の現状がある。ユネスコに保護遺産として登録するように手紙を書くなどして働きかけるべきだ。和食のように、琉球料理にも明確な定義付けが必要だ——

 

世界遺産登録の運動も3年目に入ったが、「運動の認知度も広まってきたが、もっと沖縄県民の盛り上がりが必要だ」と小泉・名誉教授は地元の盛り上がりを期待している。

なお、黒麹菌の学名は当初「Aspergillus awamori」(アスペルギラス・アワモリ)だったが、2013年に「Aspergillus luchuensis」(アスペルギラス・ルチュエンシス)に変更され、国際的にも認証された。学名に「琉球」を入れることで、沖縄発祥であることが国際的にも認められたかっこうだ。

 

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編集部
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