廃棄される食品を「発酵の力」でリサイクル!! 肥料・飼料・バイオ燃料に

カテゴリー:食情報
投稿日:2016.07.07

微生物の作用を巧く利用して人間生活を豊かにするのが「発酵」です。その利用は食品に限りません。環境の分野では、活性汚泥法やメタン発酵といった廃水の処理が行われ、生ごみを発酵させて得た堆肥で農作物を作る農家も増えてきました。発酵は、人間にとって重要な課題の解決策となる大きな力を秘めているのです。

現在日本では、年間約1700万tの食品廃棄物が排出されるといわれています。国内生産及び輸入を合わせた食料(年間約8400万t)の2割に当たる、膨大な量です。多くの食品廃棄物や家庭の生ごみは焼却処理されますが、コストがかかり、排出される二酸化炭素による地球温暖化の促進なども危惧されます。

2007年の食品リサイクル法の改正以降、生ごみの発酵堆肥化システムが注目されています。たとえば、福島県須賀川市の(株)平和物産では、発酵堆肥化システム「三風(さんぷう)」があります。ここでは生ごみ、家畜糞、木屑などを発酵させて堆肥をつくっています(下記【発酵による生ゴミ処理循環システム】参照)。生産された堆肥は地元の生産農家で蕪や長芋などの育成に利用され、好評です。

食材にこだわる消費者は、化学肥料を使わないオーガニック(有機栽培)の農産物を求めていますが、発酵堆肥化システムによる堆肥はそれに応えるものでもあります。

 

【発酵による生ゴミ処理循環システム】

1:生ごみの投入・発酵スタート(1日目)

投入する廃棄物は、残飯や野菜屑など生ゴミだけでなく、木屑、もみ殻、家畜糞、汚泥などさまざま。ただし、有害物質を含むものを除く。原発事故以降、汚泥などは放射線量を測定している。

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2:第1次発酵(2〜6日目)

チェーンスクープ型撹拌機が、投入した生ゴミなどを撹拌しながらレーンの先に送る。100mのレーンを約 25 日かけて通過するので、1 日に進 む距離はおよそ4m 前後になる。

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3:第2次発酵(15日目)

レーンの中間あたりで 2次発酵のための散布が行われる。散布されるのは果汁廃液、廃牛乳、汚水、 家畜尿など。バクテリアたちは新しい“餌”を得て再び発酵が盛んになる。

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4:完熟(20日前後)

完成した完熟堆肥。滋味(じみ)豊かな農作物を育てる「生きた土」になる。定期的に含有試験や溶出試験を行い、安全性を確認している。近隣の農家、小中学校の菜園、造園業者などに引き取られる。

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入口と出口有害物質のチェックと、原発事故以来、放射線量検査も行っています。処理能力は1日120t、年間約4万tですが、まだ稼働率に余裕があります。地元の農家を中心に販売していますが、「堆肥を使って蕪を育てたら驚くほど大きくて柔らかいのができました」「このあたりは長芋が育たなかったのが、堆肥を使うと1本3〜4kgにもなる」と好評。

食品廃棄物のリサイクルが普及すれば、焼却・埋立にまわす量が減らすことができ、環境問題を回避することができます。

 

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この記事を書いた人

編集部
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