【ニッポン列島マレメシ紀行(1)】悪石島/酢醤油で食べるさわら その1

カテゴリー:食情報
投稿日:2016.04.29

※「マレメシ」とはめったに食べられない料理のこと。その土地でしか食べられない「マレメシ」を求めて旅をする。

 

鹿児島港からフェリーで十数時間。東シナ海に点々と浮かぶトカラ列島の一つに、「日本最後の秘境」といわれる悪石(あくせき)島という孤島がある。面積約7.5平方キロ。周囲約8.8kmの火山島だ。地層がむき出しになった断崖絶壁。うっそうと茂った亜熱帯林。わずかな平地にわずか70人ほどが暮らす。それが、この島の全人口。鹿児島県十島村に属する。

向かったのは今年2月。冬の東シナ海は風が強く、船は揺れると聞いていたが、海は凪(な)いでおり、船酔いの心配はなかった。「さあ、飲めるぞ」とばかり、船内の自動販売機で缶ビールを購入。あらかじめ土産物店で買っておいた地元名物「トビウオの燻製のオイル漬け」がつまみである。レトルトパックに入っており、袋ごと熱湯で5分ほど温めると美味しいと説明書きにあったが、そのまま封を切って食べた。

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船の中の様子

 

黒潮に乗ってトカラ列島の島々にやってきたトビウオ。光に集まる習性を利用し、集まってきたところを網ですくい上げる漁法でとっているという。トカラ産の原木を使って丁寧に燻製し、最高級のオイルを使用して旨みをギューッと凝縮。骨まで軟らかく加工しているため、子どもから年配の方まで安心して食べることができる。保存料も添加物も使っていない。潮の香りが口の中に広がる。パスタに絡めると、おしゃれなイタリアンに変身するだろう。

持参したガイドブックを開くと、「悪石島」という、おどろおどろしい名前の由来が書いてあった。1./大岩が崖から落ちてきそうだからという説。2./平家の落人が、追っ手から逃れるため近寄りがたい名前をつけたという説など諸説ある。不思議な行事もある。旧暦7月16日に現れる来訪神「ボゼ」。男衆が全身をビロウの葉で覆い、巨大な仮面をかぶって現れ、赤土がついた「ボゼマラ」を手に人々を追うという祭事だ。泥土をつけられると、悪霊払いの御利益があり、女性は子宝に恵まれるという。

ボセの写真を見ると、ギョロッとした大きな目。たしかに南方系の神を思い起こさせる。島では、「ボゼ」は死臭ただようお盆に突然現れ、人々を太陽が輝く力強い世界へ導くという言い伝えがある。

(続く)

取材・文/豪流伝児

豪流伝児(ごうるでん・がい)/東京・新宿ゴールデン街をねぐらに、旅と食、酒を人生の伴にするライター。

 

※トップ写真はフェリーから見た悪石島の景色です。

 

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編集部
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