鰆(さわら)の健康力再発見!

カテゴリー:食情報 投稿日:2015.11.15

春だけが旬、と誤解される鰆

 鰆は、その字からして春だけが旬と思われることが多い魚です。俳句でも春の季語として知られています。ところが実際にたくさん獲れるのは、内湾では3~4月の産卵前と晩秋で、しかも漁獲高にもさほど差がありません。駿河湾などではむしろ秋が主で、味も秋の方がおいしいと言われています。気の毒なことに、その字が災いして秋の鰆は季節外れと思われて敬遠されがちですが、実はこれから2月にかけては「寒鰆」とも呼ばれ、産卵期直前で脂がのってとてもおいしいのです。

 

DHAやEPAがたっぷりで血栓予防

 鰆は鯖(さば)や鰹(かつお)の一族で、体長が1m以上にもなる魚です。胴体は細長く、やや平べったくお腹が狭いため、「狭い腹」から「狭腹」(サワラ)となったと言われています。背の部分に多数の青褐色の斑紋が並んでいるのが特徴です。北海道南部からオーストラリアにかけて分布し、5月~6月にかけて産卵のため外洋から瀬戸内海などに入ってきます。

 青魚の一種である鰆には血栓の予防やガンの抑制効果があるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)がたっぷり含まれ、その量は鯖を上回ります(鰆2.30g、鯖1.91g/100g中の多価不飽和脂肪酸値)。その他にも、カルシウムの吸収を促進する効果のあるビタミンD、正常な細胞の増殖を助ける働きがあるビタミンB12を多く含んでいます。また、イノシン酸やカルノシン、カルニチンなど、「コク」の素になる物質も多いため、旨味を強く感じられる魚なのです。

 

極上の中トロにも劣らない寒鰆の刺身

 鰆といえば塩焼き、西京味噌焼き、照り焼きなどで食べるのが一般的です。しかし、これからが旬の寒鰆は刺身が絶品です。脂肪が14~16%に達し、「鰆の刺身は皿までなめる」という俗諺もあるくらい、インドマグロのようにトロリとした食感を味わうことができるのです。ただし身が柔らかく、鮮度が下がると刺身になりにくいため、極上の逸品は獲れたてが食べられるところに限られるようです。

 

参考:『日本食品標準成分表2010』準拠「食品成分表」(大修館書店)

 

 

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編集部
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