【著書で紹介された店】料亭金鍋(福岡県)

カテゴリー:発酵仮面 投稿日:2015.11.02

品格と迫力の牛鍋

−−その牛肉は味噌垂れにべっとりと染まって口に入り、熱いのでそれをハフハフしながら噛むと、歯応えはトロリとしていてとても柔らかく、やさしく噛むとそこから絶妙のうま味と微かな甘み、そして脂肪からのペナペナとしたコクなどがジュルジュルと湧き出し、正に味覚極楽の境地を味わうことができた。(『小泉武夫のチュルチュルピュルピュル九州舌の旅』小泉武夫、石風社より)

 

 鍋の季節がやってくる。特別な日には、明治の文明開化の息吹が感じられる鍋はどうだろうか。料亭金鍋の看板メニューでもある「牛鍋コース」は、明治の頃に誕生した「牛鍋」が味わえる。仏教の影響でそれまで食習慣のなかった牛肉食が、明治から昭和にかけて西洋文化の流入とともに普及したが、なかでも牛鍋は一大ブームとなった。料亭金鍋は、明治5年に九州初の牛鍋屋として開業し、以来百余年にわたり味を守り続けてきた。

 

 「牛鍋」は、当時の食べ方そのままに味噌垂れで味わう。

 小泉センセイを唸らせた味の秘密を5代目当主の真花宏之さんに伺うと、「使っているのは、伊万里牛のサーロイン。味噌垂れは、名古屋の八丁味噌に九州の安藤味噌などをブレンドしています」。伊万里牛といえば、最高級の和牛として名高い。旨味たっぷりの牛肉に味噌垂れのコンビネーションは、「牛肉をいくら食べても飽きが来ず、もたれず、おいしくたべられる」(小泉)。

 

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「100年床」で育まれる糠漬けの味とは

 

 そして、密かに人気となっているのがコースで出される糠漬けだ。一見ごく普通の糠漬けだが、絶やさず漬け続けてきた「100年床」で漬けられている。そのため、小泉センセイいわく「風格ある奥味」が生まれている。

 

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寒い季節は「ふぐコース」も味わいたい

 

 機会があれば牛すきや魚すき、懐石料理などもおすすめ。

「これからはふぐが一番いい時期ですね。ふぐコースでは、福岡県・鐘崎産の天然ふぐをお出ししています」(真花さん)

 

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お店の外観

 

【料亭金鍋】

牛鍋コース:7,560円

ふぐコース:10,800円

 

福岡県北九州市若松区本町2-4-22

TEL:093-761-4531

営業時間:昼の部/11:00~15:00 夜の部/17:00~22:00

定休日:不定休

HP:http://www.kinnabe.com/

掲載著書:『小泉武夫のチュルチュルピュルピュル九州舌の旅』小泉武夫(石風社)

 

 

 

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この記事を書いた人

編集部
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