富山の春の味覚、絶品ホタルイカ三昧の旅へ(2)

カテゴリー:食情報 投稿日:2018.05.15

ホタルイカ漁見学ツアー

ホタルイカ漁の見学は専用の船に乗って、定置網のすぐ近くまで行きます。波や風の状態によって、出航する確率は60%。船が出るだけでもラッキーなのだとか。ホタルイカはデリケートな生き物なので、漁師さんが網を手で手繰り寄せて引き上げていました。

【「ホタルイカ三昧の旅」前編】はこちら

 

網にかかったホタルイカは、すぐ海洋深層水の中に入れ、海と同じ状態にして生きたまま岸まで運びます。観光客へのサービスで、漁の途中で一瞬電気を消し、ホタルイカの発光お楽しみタイムがあります。青い光線がチラチラと瞬く様子は幻想的で摩訶不思議な光景でした。

たくさん獲れていました。

 

朝5時の市場の活気

朝5時ごろに船を降り、その足で市場へ行ってみると、ずらり並んだ大漁ホタルイカ! 1つのカゴで50kgのホタルイカが入っています。加工業者はほぼホタルイカしか買わないので、他の魚が網に入っても海に戻してしまうそうです。ストイック! この時期の漁師さんは大忙しで、海が荒れても毎日漁に出ています。漁は夜中に行われるし、かなりハードな仕事ですが、意外と若い漁師さんが多いのも特徴的。ホタルイカは富山を代表するブランド産品のため、比較的収入も良く、ゆとりのある暮らしができるのだそうです。

大釜ですぐさま茹でる

 

朝6時ごろから作業が始まります

 

獲れたての鮮度を保つために

眠い目を擦りつつ、加工業者へも行ってきました。港から車で数分の海沿い、創業100年を超えるカネツル砂子商店です。早朝から大勢の職人さんたちが絶賛作業中。ホタルイカが到着すると、まずは刺身の処理。内臓を抜き、目玉とクチバシを取って、体とゲソ部分を分け、きれいに皿に盛りつけます。ボイルホタルイカは常時2台の釜を稼働させ、茹で水が汚れてくる前に交換できるようにしています。

茹でたてをハフハフと味見させてもらいましたが、肝と卵のむきゅっと溢れる濃厚な旨みに改めて驚嘆。前日から散々食べているのに、まだ食べたい自分に呆れます。加工において、何といっても大事なのは温度管理だそうで、運搬、調理、保管時にも工夫を凝らし、常に3℃を保持。デリケートで傷みやすいホタルイカが獲れたての鮮度を保てるよう、細心の注意を払っています。

 

デザートもホタルイカ

ちなみに最後はホタルイカの創作料理でランチ。まだ食べるんかい! と叱られそうですが、ちょうどこの日は、滑川漁業協同組合女性部で、「とやま食の匠」認定ホタルイカ料理の達人、倉本禮子さんによる「倉本禮子と竜宮の集い」が開催されていました。年に1回ホタルイカシーズンに開かれる食事会で、今年で6回目だそうです。

 

ホタルイカ創作料理の数々

 

写真左上はホタルイカを野菜と一緒に煮たものや松前漬、とろろ昆布巻き寿司、ピリ辛の味噌などをお弁当箱に詰めたもの。右下は昆布巻と春巻きです。どのおかずにもホタルイカが入っていますが、味のバリエーションが豊かなので飽きることなく食せます。

ホタルイカって要は凝縮した旨味出汁のようなものなので、むしろ入れておけば安心とさえ思えます。右上はホタルイカの卵で作った汁物。優しいお出汁の味でふわふわの食感、卵だけを食べるのは、とても貴重な機会でした。最後は左下のホタルイカゼリー。デザートまでホタルイカ! 徹底しています。

レパートリーに悩む富山のお母さんたちには良いヒントになりそうですが、県外の人間からみたら贅沢すぎてジェラシーすら感じる料理でした。

富山での日々はほぼホタルイカに埋め尽くされていましたが、実は帰って2日後にはもう取り寄せてホタパ(ホタルイカパーティー)を開いてしまった、愚かな自分がいました。一度食べたら忘れられない、人の心を掴んで離さないホタルイカ。そして滑川の皆さんが誰もホタルイカをこよなく愛し、誇りを持って話して下さったことがとても印象的でした。

 

ほたるいか ミュージアム

http://hotaruikamuseum.com

割烹あらき

https://www.kappouaraki.com

カネツル砂子商店

https://www.kanetsuru.com

にほんばし富山館

https://toyamakan.jp

 

写真・文:江澤香織

ライター。食・旅・クラフト等を中心に活動。著書「山陰旅行 クラフト+食めぐり」「青森・函館めぐり」「酔い子の旅のしおり」等。酒蔵や酒場を中心に巡るツアーやイベントも主宰。発酵マニアで各地の発酵食品の現場を訪ねることはライフワークのひとつ。

 

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この記事を書いた人

編集部
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